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Extended Summary
本文は pp.1238-1244
Observation of ULF Geomagnetic Variations and Detection of ULF Emissions
Associated with Earthquakes: Review
Masashi Hayakawa Member (University of Electro-Communications, [email protected])
Katsumi Hattori Member (Chiba University, [email protected])
Kenji Ohta Non-member (Chubu University, [email protected])
Keywords : earthquake-related electromagnetic phenomena, short-term earthquake prediction, precursory signatures, ULF electromagnetic
emissions
Electromagnetic phenomena (as a new possibility) have been
recently recognized as a promosing candidate for the short-term
earthquake prediction. Being strongly stimulated by the Japanese
two earthquake frontier projects (RIKEN’s International Frontier
Research on Earthquakes and NASDA’s Earthquake Remote
Sensing Frontier) after the Kobe earthquake, there have been
accumulated a lot of observational reports in seismoelectromagnetic studies all over the world.
Among different kinds of seismo-electromagnetic phenomena,
this paper will highlight the ULF (ultra-low-frequency, frequency
less than 10Hz) electromagnetic emissions associated with
earthquakes. We know that seismogenic emissions take place in a
wide frequency range, but we believe that the emissions in the
lowest frequency renge (like ULF) can only be observed near the
Earth’s surface (because higher frequency emissions suffer from
severe attenuation in the lithosphere).
First we describe earlier major events (Spitak, Loma Prieta,
Guam earthquakes) and then we pay particular attention to our
latest results on seismogenic ULF emissions.
Section 3 is devotd to the methods on how to extract the
seismogenic ULF emissions by means of sophisticated signal
processing (like polarization analysis, principal component
analysis, direction finding methods etc.). These methods have
been applied to a few major and rather recent earthquake events
(including Kyushu earthquakes, 2000 Izu islands earthquake and
2004 Niigata earthquake). We want to indicate how important the
development of new signal processing methods will be in
extracting and/or identifying the new ULF emissions for future
earthquakes.
Section 4 summarizes the characteristics of seismogenic ULF
emissions, and the main properties can be summarized as follows.
(1) Figure 1 is the summary on the presence or absence of
seismogenic ULF emissions in the form of epcentral distance (R)
and magnitude (M) (the empirical threshold is estimated to be
0.025R=M-4.5). ULF emissions tend to occur only for large
earthquakes (probably with magnitude greater than 5.5 or so).
Fig. 1.
Summary of pre-seismic ULF emissions
(2) They exhibit a typical temporal evolution in intensity.
The first enhencement (or peak) appears about one week to one
month before the earthquake, then they experience a very quiet
period and finally their intensity begins to increase a few days
before the eathquake.
(3) The intensity is not so large (0.1~a few nT), and the most
probable frequency is just around 0.01Hz (10mHz)(period =
100s).
In Section 5 we review the generation mechanisms of
seismogenic ULF emissions. There have been proposed two major
plausible mechanisms: the first one is based on microfracturing,
and the second, electro-kinetic mechanism. Finally we have
suggested the future subjects to study in this science field.
-7-
論
文
ULF 帯磁場変動データを用いた地震関連現象の抽出:レビュー
員
早川
正士*
非会員
太田
健次***
正
正
員
服部
克巳**
Observation of ULF Geomagnetic Variations and Detection of ULF Emissions Associated with
Earthquakes: Review
Masashi Hayakawa*, Member, Katsumi Hattori**, Member, Kenji Ohta***, Non-member
Earthquake- related electromagnetic phenomena are recently considered as a promising candidate for short-term earthquake
prediction. There have been accumulated a lot of evidences of precursory signatures in a wide frequency range (DC-VHF), but
the ULF geomagnetic change is one of the most promising phenomena. We review our latest results on seismogenic ULF
emissions; characteristics of those emissions and methodologies to detect abnormal changes in ULF electromagnetic field
associated with earthquakes.
キーワード:地震電磁気現象,ULF 磁場変動,短期地震予知,異常変動
Keywords:seismogenic electromagnetic phenomena, ULF geomagnetic variation,short-term earthquake prediction, abnormal changes
り長距離を伝搬できないが,ULF 帯電波は減衰も少なく地
1. はじめに
表近くにて容易に受信される。この点が ULF 波の重要な利
近年地震に先行して発生する電磁気現象が様々な周波数
点である。
帯において報告されている(1)~(3)。これらの観測方法は次の二
地震に先行する磁場変動として信頼できる事例は 3 つ報
つに大別される。一つは地殻内部から出てくる電磁波(自
告されている。(1) アルメニア・スピタク地震(1988 年 12 月
然放射)を直接観測する方法であり,もう一つは既存電波
8 日マグニチュード M6.9),(2) アメリカ・ロマプリ−タ地震
の伝搬異常として間接的に捉える方法(電波サウンディン
(1989 年 10 月 8 日 M7.1),と(3)グアム地震(1993 年 8 月 8 日
グ)である。前者は,地震の発生準備段階において地殻内
M8.0)である。観測点と震央との距離は,(1)では 129km,(2)
部で応力変化等何らかの理由で自然放射が発生するとの考
では 7km,(3)では 65km であった(4)~(6)。(2)のロマプリ−タ地
えに立脚している。後者は,地震に伴う擾乱が大気圏や電
震は観測点の極く近傍にて発生しており,ULF 波の特性を
離圏に発生し,それを既存電波の伝搬異常として検出する
も の で あ る 。 本 論 文 で は 前 者 の な か で も ULF 帯
(ultra-low-frequency の略で,周波数 10Hz 程度以下の意味)
の磁場変動について注目する。1990 年代前半に,地震に関
連するとみられる ULF 帯の地磁気変動に関する研究が開始
された。地震に伴い震源近くにて電波が発生したとすると,
一般に高周波数の電磁波は表皮効果(地下での減衰)によ
*
**
***
電気通信大学 電子工学科
〒182-8585 調布市調布ヶ丘 1-5-1
Department of Electronic Engineering, The University of
Electro-Communications
1-5-1, Choufugaoka, Chofu 182-8585
千葉大学 海洋バイオシステム研究センター
〒263-8522 千葉市弥生町 1-30
Marine Biosystems Research Center, Chiba University
1-30, Yayoi-cho, Chiba 263-8522
中部大学 工学部
〒487-8501 春日井市松本町 1200
Faculty of Engineering, Chubu University
1200, Matsumoto-cho, Kasugai 487-8501
図1
Fig. 1.
ロマプリータ地震に関する磁場変動(0.01 Hz)
Geomagnetic anomalous changes for Loma Prieta
earthquake (0.01Hz).
1238
IEEJ Trans. FM, Vol. 126, No.12, 2006
地震に伴う ULF 放射の検出
知るのに好都合である。この地震に対する ULF 磁場強度(水
平一成分,周波数 0.01Hz(周期 100 秒)
)を図 1 に示す。地
震の 12 日~5 日前までの一週間程度磁場強度が上昇,その
後静穏化し,1 日前から再び強度が上昇し,地震の 3~4 時
間前から急激な上昇が観測された。ほかの 2 つの地震でも
有意な磁場強度の変化が観測されており,ULF 磁場変動と
地震活動との関係を詳細に研究するきっかけとなった。本
論文では,地震と ULF 磁場変動の関係について紹介する。
一般的に地震に伴う ULF 放射は微弱な電波であり,如何に
に電波を検出するかが重要である。種々の ULF 波抽出法を
述べ,それにより得られた地震 ULF 波の諸特性をレビュー
する。最後に今後の課題も記す。
2. 磁場測定用センサー
以下で取り扱う ULF 帯磁場データを計測する磁界測定セ
ンサーについて簡単に述べる。3 節での解析に使用したセン
サーは二種類あり,(1)インダクション磁力計と(2)トーショ
ン型磁力計である。これらの諸元などについては文献(7)を
参照されたい。更に,より低周波(直流に近い)の磁場測
定としてはプロトンフラックスゲート磁力計が使用されて
いる。
(a)は観測点から半径 90km 以内で発生した地震の放出エネルギー
をその日にて積分し,それを逆にまたマグニチュードへ変換した
もの。(b)は偏波の変化で,太線が垂水を,細い二つの線が父島,
ダーウィンを示す。(c)は地磁気活動度(ΣKp)を示す。二つの
地震の日も示してある。
図2
Polarization analysis result at Tarumizu, Chichijima,
and Darwin.
3. ULF 帯磁場変動の解析法
〈3・1〉 磁場の鉛直成分と水平成分の比(偏波解析)
現象が局所的なものか地球規模のものかを判別するため,
地殻活動に関連する磁場変動を検出するためにスペクト
リモートリファレンスデータと比較検討した。(6)平均スペ
ルの鉛直成分と水平成分の比 SZ/SG(SG2=SH2+SD2;H,D
クトルの平均偏波の時間変化と地磁気活動を表す指標であ
は水平 2 成分)が有効である事が報告された(6)。上空(電離
るΣKp と地域的な地震活動度との比較検討を行った。垂水
圏/磁気圏)より伝搬する宇宙プラズマ波動では磁場スペ
観測点で観測された磁場変動の空間的広がりを見積もるた
クトルの鉛直成分と水平成分の比 SZ/SG(偏波)が 1 よりか
め,1200km 離れた小笠原諸島・父島における地磁気 3 成分
なり小さいことが予想される一方,地殻活動に起因する
データと垂水観測点の地磁気共役点であるオーストラリ
ULF 波動では SZ/SG~1(またはある一定の値)が予想され
ア・ダーウィン観測点の地磁気 3 成分データを調査した。
る。実際のデータに適用してみる。1997 年 3 月 26 日および
地震に関連する ULF 帯電磁放射の最大の雑音源は地磁気嵐
5 月 13 日に鹿児島県北西部で M6.5 と M6.3 の地震が発生し
などの地磁気擾乱に起因する地磁気変動である。この変動
た(8)。震源の深さはいずれも約 20km であった。これらの地
は磁力線の弦の振動のように伝搬し,その弦の両端(地磁
震から距離約 60km の鹿児島県垂水でフラックスゲート磁
気共役点)ではほとんど同じ地磁気変化が観測されるので
力計による 3 成分磁場観測が 1 秒サンプリングにて行われ
ある。リモートリファレンスの父島,ダーウィンと垂水の 3
ていた。ここでは 1996 年 8 月から 1997 年 9 月まで約 1 年
箇所では全く同じインダクション型磁力計が稼働してい
間にわたる地殻活動と ULF 磁場変動の関係を明らかにする
た。ちなみに解析期間中,父島観測点およびダーウイン観
ため,地磁気データから地殻活動に起因すると考えられる
測点の周囲 100km 以内では地震は発生していない。
地磁気変化を抽出する必要がある。ここでは,早川らがグ
図 2(a)に垂水観測点の半径 90km 以内の地震活動度(1 日
アム地震に対して行った手法である偏波解析を採用した(6)。
あたりの積分した地震放出エネルギーをマグニチュードに
(1)人工雑音および地磁気変動の影響をできるだけ小さくす
換算)を示した。図 2(b)は 3 観測点の偏波の前 10 日間の移
るために地方時午前 0 時から 4 時のデータを使用した。(2)
動平均をプロットしたもので,太線が垂水である。(c)には
データを 30 分ごとの 8 個のセグメントに分割し,そのセグ
地磁気活動度(ΣKp)を示した。図 2(b)の点線は父島,ダ
メントごとに FFT 解析を行った。(3)スペクトルの平均値お
ーウインの変化を示しているが,両者は極めて安定してい
よび分散を求め,地震に関連する ULF 放射の主たる周波数
ることがわかる。一方,太字の垂水のグラフは特異な変動
領域を推定した。(4)地殻活動に起因すると考えられる地磁
をしている。すなわち,最初の地震の前に通常レベルの 1.0
気変化を抽出するために偏波解析 (SZ/SG) を行った。この
から 2 倍以上に増加している。その後減少が始まり,その
計算においては 8 個のセグメントから求められた平均スペ
減少が落ち着いたところで最初の地震が発生し,しばらく
クトルおよび平均偏波を 1 日の代表値とした。(5)得られた
電学論 A,126 巻 12 号,2006 年
垂水,父島,ダーウィン観測点の偏波解析結果
Fig. 2.
その値が継続している。再び減少が始まり,第二の地震が
1239
発生している。偏波は 7 月初旬には通常レベルに回復して
月下旬から全体のレベルがやや上昇し,特に M6 クラスの 3
いる。このような変動はダーウインおよび父島観測点では
つの地震の数日前から顕著に値が上昇していることが確認
認められず,垂水観測点固有の変化である。垂水観測点周
された。この時間変化は図 1 の結果とも似ていることより,
辺の地震活動のエネルギーを積算したグラフと偏波の結果
我々はこの変動が地殻活動起源のものであった可能性が極
を比較すると,(1)偏波の値が地震活動に先行して高まって
めて高いと考えている。
いることと,(2)その時間変化が地震活動度の変化と似てい
〈3・3〉 方位測定(磁場勾配測定法)
前述した 2 つ
ることがわかる。このことは磁場変動の偏波が地域の地震
の節での信号処理法は地震 ULF 波の存在を確かめることが
活動度を表す良いパラメータであることを示し,しかもそ
主目的であるが,その発生場所を同定することが出来れば,
れが地震活動に先行していることを示している。一方,地
地震の前兆現象であるとより強く主張することが出来る。
磁気活動度とは顕著な関係が認められない。
前述の伊豆諸島群発地震について信号の到来方向を推定す
伊豆半島および房総半島ではそ
る方位測定を実施した。今回は 3 成分磁力計を 5km 程度の
れぞれ磁力計(トーション型)3~4 台を用いたアレー観測
間隔で 3 角形状に配置した伊豆と房総半島でのローカルア
〈3・2〉 主成分解析
(50 または 12.5Hz サンプリング)を実施している。2000 年 6
レーデータを用いた。磁場の水平成分,鉛直成分について
月末より,三宅島で地震活動が活発化し,噴火活動が始ま
周波数毎に磁場勾配を求め,その平面の法線方向から信号
った。同時に三宅島だけでなく,その周辺で極めて活発な
の到来方向を推定する勾配法を用いた。結果を図 4 に示す。
群発地震活動が発生したことは記憶に新しい。2000 年 6 月
図 4 は北方向を 0°,+は東方向,-は西方向にとり,到来
から 9 月末までに周辺地域で発生した地震総数は 12,000 個
方向の期間毎の変化を表している。縦軸は夜間 0 時から 6
を越えるという気象庁観測開始以来の著しい地震活動を呈
時までのその方向から到来する信号の確率を周期毎に示し
するに至った。ここでは主成分解析(Principal Component
ている。濃い実線は鉛直成分で,淡い破線は水平成分であ
Analysis, PCA)と呼ばれる手法を伊豆半島に展開している地
る。到来方向から,雑音源を 4 つのグループにわけること
(9)
磁気アレー観測のデータに適用した 。空間的に近接地点に
ができる。伊豆アレー観測点では,通常,鉛直成分につい
展開された 3 台の磁力計のデータを用いたため,3 組の(独
ては,海と陸という地形学的なコントラストを反映した西
立でかつ相関のある)データ群が存在し,原理的には PCA
(駿河湾)方向からのシグナルが卓越し(パーキンソン・
解析で 3 個の信号源に分離される。ある観測点で観測され
ベクトルに相当)
,水平成分については,定常的に 2 つの方
る地磁気変化は,一般に(1)太陽活動に起因する磁気圏内で
向からのシグナルが同定された。それらの 1 つは東方向で
の磁場変動(磁気嵐など),(2)人工ノイズ,(3)それ以外のも
(図 5 で 1 と表示してある)
,伊豆アレー観測点から見た伊
の(地震活動に関連する地磁気変化を含む)の合成である
豆半島東方沖の地震活動域(図 5 で 2 と表示してある)と
と考えられる。各観測点の 30 分ごとの時系列データをもと
一致し,もう 1 つは銭洲方向からのシグナル(図 5 で 3 と
に周期 10 秒ないし 100 秒の変化に注目して固有値解析を行
表示してある)と同定できた。ところが 2000 年の三宅島噴
い,その固有値λn (n=1~3)の時間変化を追跡した。その結
火に起因する群発地震の 2 週間ほど前から,三宅島方向か
果,第一主成分のλ1は(1)の磁気圏擾乱を示す地磁気活動度
ら到来するシグナルが顕著に観測され,その頻度は群発地
指数 Ap と極めて良い相関を示した。第 2 主成分のλ2は 24
震の期間中に最大となった。図 4 で番号 4 で表示され,一
時間周期をもち,昼間大きく,夜間小さいという特徴から,
番右に位置する波源である。さらに房総のアレー観測から
人間活動に起因するノイズと判断した。図 3 は第 3 主成分
も番号 4 の雑音源に対して到来方向を測定した。伊豆およ
のλ3の時系列変化を示した。群発地震活動の始まる前の 3
び房総から推定された信号到来方向(方位角の拡がりを二
(a)伊豆観測点の 0.01Hz の解析結果(λ3 の時系列変化)と (b)地磁気活動度(Ap)
図3
3 点アレーデータの水平南北成分を用いた主成分解析結果と地磁気活動度
Fig. 3. Result of Principal Component Analysis with the use of the H component data observed at three stations.
1240
IEEJ Trans. FM, Vol. 126, No.12, 2006
地震に伴う ULF 放射の検出
1
2
3
4
図5
Fig. 5.
方位測定結果(4 つの雑音源の方位方向)
Direction finding result. Different azimuthal
directions for different noise sources (1~4).
図6
伊豆及び房総観測点での方位測定に基づく
発生源の同定
Fig. 6.
Triangulation of noise source (#4) by using the
azimuths from Izu and Boso.
〈3・4〉 方位測定(ゴニオメータ法)
方位測定の重
要性を最新の大地震である新潟地震に対しても示す。新潟
中越地震は 2004 年 10 月 23 日 17:56 J.S.T.に発生し,マグニ
チュードは 6.8 で,深さ 10km という大規模な地震である。
多くの人命が失われたこともあり,まだ記憶に新しいもの
である。この地震に伴って ULF 放射が発生していることを
また別の観測点(中津川)でのデータを用いて示す。中津
(a)2000 年 2 月 1 日(地震活動の 4 ヶ月前),(b)2000 年 4 月 10 日
(地震活動の 2 ヶ月前),(c))2000 年 6 月 14 日(地震活動の 12 日
前),(d)2000 年 7 月 14~15 日(群発地震活動期),(e)2002 年 7
月 5 日(2 年後)。
図4
川観測点では伊豆,房総半島での観測と同様インダクショ
ン型磁力計による磁場 3 成分(Bx,By,Bz)計測を行って
伊豆アレーデータの方位測定結果の時系列変化
いるが,大きく異なるのはより広域帯にて波形の連続観測
Fig. 5. Result of direction findings with Izu array station.
を行っている点である。即ち,サンプリング周波数 100Hz
本の破線で示してある)の重なりあう部分が予想される波
成分)の日変化を示したもので,10 月 2 日~6 日の数日間
にて波形記録をしている。
図 7 は f≤ 0.1Hz での信号強度
(By
の発生源であり,図 6 にその結果を示す。この交叉領域は
信号強度が平均値(10 月 1 ヶ月間の平均強度)+3dB より著
ちょうど伊豆諸島群発地震活動域に対応することがわか
しく超えており,異常放射を伺わせている。地震の前 2~3
る。群発活動終了後の 2000 年 12 月には三宅島方向からの
週間前での異常であるが,新潟地震との関連性はこれだけ
シグナルは消失した。以上のことより,図 6 にて同定され
では何とも言えない。そこで,雑音源の方位測定を行った。
た ULF 信号は伊豆諸島群発地震に関連する信号を検知した
水平磁界 2 成分を用いたゴニオメータ方位測定を用いる。
可能性が極めて高いといえる。
10 月 2 日~6 日の異常振幅(即ち,平均値+3dB を超える)
電学論 A,126 巻 12 号,2006 年
1241
40
平均値+3dB
[dB]
30
20
10
平均値
0
9/21
図7
10/1
10/11
Day
10/21
10/31
2004 年 9 月~10 月における f ≤ 0.1Hz 放射の
強度の日変化(By 成分)
Fig. 7.
Temporal evalution of the ULF (f ≤ 0.1Hz) radio
emissions in September and October, 2004.
○は地震に先行する磁場異常を伴うケース,●は地震に先行する
磁場異常を伴わないケースである。
図9
地震の震央距離とマグニチュードとの関係
Fig. 9. Relation between magnitude and epicentral distance.
では感知距離 R は 70-80km,マグニチュード 7 では 100km
程度である。ULF 波受信に関する閾値は 0.025R<M-4.5 の
式で表わされる。
(2)
ULF 放射は主として大きな
(マグニチュード 6 以上)
地震に対して発生し,典型的な時系列変化を示す。先ず,1
図8
ヶ月~数週間前に第 1 のピークがあり,その後沈静化,数
中津川観測点からの方位測定結果(中津川より
日前より強度が著しい上昇を示す。
55˚の方向(矢印)が方位測定結果である)
(3)
Fig. 8. Result of direction finding of ULF emissions at
地震に伴う ULF 放射の信号強度は 0.1nT から数 nT
のオーダである。しかし,ULF 放射がどの周波数にて優勢
Nakatsutawa, together with the location of the epidenter.
なのかという周波数スペクトルはよくわかっていないが,
周期 100 秒(0.01Hz=10mHz)前後が重要な周波数の様であ
を示す期間において BX/By 比による方位を測定した。得られ
る。
る頻度分布は中央値の周りに集中し,その中央値を図 8 に
(4)
示している。図中にて 55˚の矢印方向である。到来方向はほ
ULF 放射観測は項目(1)からもわかる様に局所観測
であり,震央の近くに ULF 観測点がないと観測されない。
ぼ震央方向を向いており,地震の前兆である可能性が高
しかし,新潟地震の例(R=230km)でも示した様に例外的
い(10)。現在,伊豆と房総半島での観測点から同様の方位測
なものがある。即ち,マグニチュードが大きく,しかも極
定を行っている。
めて浅い時には項目(1)の関係式に従わないものもある。
次に,ULF 放射の発生機構についてレビューする(11)(12)。
4. 地震 ULF 放射の諸特性と発生機構
ULF 帯の電磁放射については地震の前の震源付近での応力
地震に伴う ULF 放射の論文はスピタク地震,ロマプリエ
変化に伴うマイクロフラクチュアリング(微小破壊)によ
タ地震,グアム地震以降かなりの数の論文が発表されてい
る電荷生成(小さなアンテナの集合)というメカニズムが
る。本論文では我々による最近の成果を紹介しているが,
提唱されている(11)。彼らによれば,M6 で 60km,M7 で 100km
発表されているほぼすべての事例をまとめたのが図 9 であ
程度の距離まで ULF 帯磁場観測により,地震に先行する
る。図 9 は地震の震央距離 (R) とマグニチュード (M) との
ULF 磁場変化が観測可能と報告している。この理論式(13)は
関数として地震 ULF 波が受信されたか否かをまとめたもの
ほぼ図 9 での閾値の式と合致している。そして発生したパ
である。図中では,地震前に前兆的磁場変化がある場合は
ルス信号の高周波数成分は地殻内部で減衰してしまうが,
白丸で,ない場合は黒丸で描いている。以下に地震に伴う
ULF 帯の成分は地殻を通過して地表まで到達すると考えて
ULF 放射の諸特性を要約してみよう。
いる。もう一つの機構として,流動電位現象によって ULF
比較的大きな地震に対しては前兆的に ULF 放射が
放射が発生するという仮説もある(12)。代表的な二つの発生
発生していることは疑いない。図 9 からマグニチュード 6
機構を記したが,どの機構が有力かは現時点では不明であ
(1)
1242
IEEJ Trans. FM, Vol. 126, No.12, 2006
地震に伴う ULF 放射の検出
る。地震の発生時,その準備段階では地圏内での自己組織
文
化現象が起こり,自己組織化臨界状態が発生していること
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(9) K. Goto, Y. Akinaga, M. Hayakawa, and K. Hattori : “Principal component
analysis of ULF geomagnetic data for Izu islands earthquakes in July
2000”, J. Atmos. Electr., Vol.22, pp.1-12 (2002)
(10) K. Ohta, N. Watanabe, and M. Hayakawa : The observation of ULF
emissions at Nakatsugawa, Japan, in possible association with the Sumatra
earthquake, Int’l J. Remote Sensing (2006) (in press)
(11) O. A. Molchanov and M. Hayakawa : “Generation of ULF electromagnetic
emissions by microfracturing”, Geophys. Res. Lett., Vol.22, pp.3091-3094
(1995)
(12) M. A. Fenoglio, M. J. S. Johnston, and J. D. Byerlee : “Magnetic and
electric fields associated with changes in high pore pressure in fault zones:
Application to the Loma Prieta ULF emissions”, J. Geophys. Res.,
Vol.100, pp.12951-12958 (1995)
(13) O. A. Molchanov, M. Hayakawa, and V. A. Rafalsky : “Penetration
characteristics of electromagnetic emissions from an underground seismic
source into the atmosphere, ionosphere and magnetosphere”, J. Geophys.
Res., Vol.100, pp.1691-1712 (1995)
(14) M. Hayakawa, T. Itoh, and N. Smirnova : Fractal analysis of ULF
geomagnetic data associated with the Guam earthquake on August 8, 1993,
Geophys. Res. Lett., Vol.26, No.18, pp.2797-2800 (1999)
(15) International Workshop on Seismo Electromagnetics, IWSE2005,
Programme and Extended Abstracts, p.492 (2005-3)
が予想される。即ち,震源近くでは圧力上昇によりマイク
ロクラックが形成され,それらクラックの成長,融合など
が続くこととなる。これらのプロセスと ULF 放射とは密接
に関係していると思われる。この地圏内での非線形プロセ
スを追う信号処理法がフラクタル解析である(14)。このフラ
クタル(モノ及びマルチ)解析結果をも考慮して,発生機
構の検討や改良が望まれる。
5. 将来の 3 成分磁場観測網の構築に向けて
現在,日本では気象庁地磁気観測所,国土地理院等で 3
成分磁場の連続測定が行われているが,サンプリングレー
トは 1 分に 1 データといったものが多い。大学等でもかな
りの観測網が構築されているが,残念ながら固体地球物理
の分野ではプロトン磁力計による全磁力計測が主流を占め
ている。磁場データを地震予知研究に応用するためには,
(1)3 成分磁場測定である事,(2)サンプリングレートは毎秒 1
サンプリング以上,(3)分解能として 10pT 以下が望ましい。
また,磁場変動による地殻活動監視には地磁気活動/太
陽活動をよく知る必要がある。規模の大きな地震の直前に
は地磁気変動のような変動があることもいくつかの例で見
つかっており,信号の時空間的な特徴を正確に把握し,信
号を弁別する上で衛星による宇宙からの監視と陸上からの
監視をネットワーク化させることも必要である(15)。
さらに深海底では,海水の存在による表皮効果により,
太陽起源の地磁気擾乱の高周波成分はほとんど到達する事
ができない。そのため,もし深海底で高周波の地磁気変動
が観測された場合は,地球内部起源の変動である可能性が
極めて高い事が推論できる。また陸地から離れる事が出来,
人工ノイズも少ないと考えられ,さらに沈み込み帯に発生
する地震の直上付近での観測を行う事ができるという利点
があり,今後海底ケーブルを利用した磁場のリアルタイム
観測を行う事が望ましいであろう。
6. まとめ
ULF 帯の電磁放射など地震に関連する地殻内の ULF 電磁
放射の存在はほぼ確実であると思われる。問題はその物理
機構の解明にある。そのためにはより説得力のある多くの
データを得る必要があり,地磁気変動,人工雑音など他の
(正員) 1944 年 2 月 26 日生まれ。1966 年 3 月
名古屋大学工学部卒業。1968 年 3 月同大学大学
院工学研究科修士課程修了。1970 年 9 月同大学
大学院博士課程中退。1970 年 10 月名古屋大学
空電研究所助手,1978 年同研究所講師,1979
年助教授。1991 年 4 月より電気通信大学教授,
現在に至る。工学博士。電磁環境学を対象とし,
宇宙(地球電離圏/磁気圏)プラズマ雑音,大
気圏雑音(大気電気学),環境電磁工学,地圏雑音(地震電磁気学)
等の研究に従事。又,研究手法としては,電波観測(方位測定等)
,
電磁界解析,信号処理等。電子情報通信学会,日本大気電気学会,
AGU,URSI 会員。
早
雑音源との弁別が重要である。ULF 帯の磁場変動解析にお
いては,リモートリファレンスを利用した偏波解析が有効
であると思われる。また,複数観測点データの解析を行い,
地殻内部における電磁放射の空間・時間的な広がりを調査
し,信号の到来方向を推定する方位測定を実施し,信号源
の位置を推定することが重要である(7)。さらに,他の周波数
帯の電磁気現象や地震学的・測地学的データとの総合的な
比較検討を行い,地震・火山噴火など地殻活動に伴う電磁
気現象全体を解明する必要がある(3)(7)(15)。
(平成 17 年 5 月 9 日受付,平成 18 年 8 月 8 日再受付)
電学論 A,126 巻 12 号,2006 年
献
1243
川
正
士
服
部
克
巳
(正員) 19 65 年 1 月 5 日生まれ。1987 年 3 月
(非会員) 1942 年 10 月 6 日生まれ。1966 年 3
月信州大学工学部通信工学科卒業。同年 4 月中
部工業大学工学部電子工学科助手。1993 年より
中部大学工学部教授,現在に至る。VLF帯電
磁波(空電,ホイスラ)の研究,特にホイスラ
の発生頻度,分散値,到来方位に関する自動観
測及び超低緯度ホイスラの伝搬メカニズム解
明に従事。1987 年工学博士(名古屋大学)。現
在,電磁波を用いた地震前兆現象の観測に専念している。1991 年日
本大気電気学会学術研究賞受賞。電子情報通信学会,日本大気電気
学会会員。
太
名古屋大学卒業。1989 年 3 月同大学大学院工学
研究科修士課程修了。1992 年同大学大学院博士
課程修了。工学博士。1992~1995 年富山県立大
学助手,1995~1997 年群馬工専講師,1997~2001
年理化学研究所研究員(その後チームリーダ
ー)。2001 年より千葉大学海洋バイオシステム
研究センター助教授。現在,電磁気現象を用い
た地殻変動モニターの研究に従事。電子情報通信学会,日本大気電
気学会,AGU,URSI 会員。
1244
田
健
次
IEEJ Trans. FM, Vol. 126, No.12, 2006
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